MENU

高脂血症について

高脂血症

高脂血症 血中コレステロール値が高いと動脈硬化が促進されます。特にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が上昇し、さらにこれが酸化されると動脈壁に存在するマクロファージに異物として認識され、取り込まれます。酸化されたLDLコレステロールを取り込んだマクロファージは様々な因子を放出し、血管壁にプラークという盛り上がりを形成します。これによって血管の内腔が狭くなり、狭心症、心筋梗塞などの心臓病や脳梗塞を発症します。HDLはマクロファージからLDLコレステロールを奪い、処理します。中性脂肪(TG)もレムナントという物質を介して動脈硬化を進展させるといわれています。


【高脂血症と管理目標】ガイドライン2002年日本動脈硬化学会 




【高脂血症の治療】

一次予防(健康な時からの病気の予防)としての高脂血症の治療はまず生活習慣の改善で、適正体重の維持、食事療法、運動療法、禁煙を行います。これらを3~6か月行っても改善しない場合には薬物療法を考慮します。

二次予防(再発の予防)においては、生活習慣の改善と同時に積極的に薬物療法を導入します。

高脂血症の食事療法

第一段階
1. 摂取エネルギーの制限:標準体重(22×身長×身長)kgを維持します。エネルギー摂取量は標準体重×(20~30)kcal、ただし肥満があれば標準体重×20kcalとします。
2. 炭水化物は総エネルギーの60%とします。たんぱく質は1日60~70g程度摂取します(エネルギー比率として15~20%)。獣鳥肉より魚肉、動物性、植物性たんぱく(大豆)は半々。
3. 脂肪は全体のエネルギーの20~25%とします。青魚、植物性の食品(特に豆製品)を増やし、乳製品、卵、脂の多い肉などの動物性食品を減らします。
4. コレステロールは1日300mg以下とします。
5. 食物繊維を多くとります。野菜、穀類、豆類、海草、柑橘類、こんにゃく、きのこなど。 野菜には繊維だけでなく、ビタミンE、C、カロチン、リコピン(トマト)などの抗酸化物質が含まれ、コレステロールの酸化を防止します。
6. アルコールは1日25g以下とします。
7. 他、ビタミンB6, B12, 葉酸、ポリフェノール(茶、赤ワイン)を含む食物を摂取します。


第二段階
1. コレステロールが高いとき 脂質由来のエネルギーを総摂取エネルギーの20%以下、コレステロール200mg以下 飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸 = 3:4:3
2. 中性脂肪が高いとき 禁酒、炭水化物由来エネルギーを総エネルギーの50%以下 単糖類、可能な限り制限、できれば一日80~100kcal以内の果物を除き調味料のみでの使用とします。



<勧める食品、控える食品>

背の青い魚(ぶり、いわし、さば、さんま)にはEPAが含まれており、コレステロールを減らす作用があります。たんぱく質、特に大豆タンパクはイソフラボンが含まれ、HDLコレステロールを増やします。牛、豚の脂肪にはアラキドン酸が含まれ、多く摂取すると動脈硬化を招きます。貝、たこ、いかにはタウリンが含まれ、コレステロール、中性脂肪を減らし、血圧を低下させるといわれています。葉酸、ビタミンB6、B12の欠乏は高ホモシステイン血症を生じ、冠動脈疾患の原因となります。禁煙が必要です。

参考として
ビタミンC: 野菜、果物
ビタミンE: 緑黄色野菜、うなぎ、あんこう、種実(アーモンド、落花生、ひまわりの種)
ビタミンB6: かつお、まぐろ、さけ、さんま
ビタミンB12: 魚貝類、レバー 葉酸: 緑黄色野菜、レバー、枝豆
>
<控えたい食品> 豚バラ肉、豚ロース、牛バラ肉、牛肩ロース、牛肩肉、牛サーロイン、ベーコン、ウインナソーセージ 鶏卵、魚の卵、内臓類(レバーなど)、小魚類(ししゃも、しらすぼし)、肉の脂身、ベーコン、バター、生クリーム、ただし鶏卵は良質のたんぱく、ビタミンA, B2などが豊富に含まれ、M卵程度はとりたい。

<中性脂肪の高い人が控えたほうがよい食品> チョコレート、ケーキ、菓子、ジュース、アイスクリーム、清涼飲料水、アルコール、果物(りんごなら1日大1/2個まで)

<飽和脂肪酸が少なく、比較的安心してとることができる肉> 豚ヒレ肉、豚もも肉、豚肩肉、牛ヒレ肉、牛もも肉、鶏ささ身、鶏むね肉皮なし、鶏もも肉皮なし、鶏手羽肉、ボンレスハム、ロースハム、ショルダーベーコン

<薦めたい食品> 野菜類、海草類、きのこ類、こんにゃくなどは積極的に摂る。肉よりも大豆製品、魚の中でも青背魚、豆類、鶏のささみ、低脂肪牛乳、油を使うなら植物油(べにばら油、大豆油、サラダ油、オリーブ油など)を使用する。



【料理のめやす】

1. バランスのとれた食事:1日30品目以上を摂取します。
2. 動物性脂肪でなく植物性脂肪(魚脂)、ただしとりすぎると過酸化物質が生成されます。
3. コレステロールは1日300mg以下とします。
4. 砂糖、菓子のとりすぎに注意します。
5. 野菜、海草、きのこは食物繊維が多く、コレステロールの吸収を抑制します。
6. コーヒー、紅茶、緑茶にはコレステロールを低下させる作用があります。コーヒーは薄めに1日3~5杯、砂糖よりも牛乳を入れて飲みます。
7. 肉を1日1皿以下、魚を1日1皿以上、オリーブ油を積極的に使用すると、おおよそ飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の比が3:4:3になります。

※例
朝食:ごはん、豆腐の味噌汁、卵焼、生野菜またはパン1~2枚、マーガリン小さじ1杯、牛乳1杯、生野菜
昼食、夕食:ごはんまたはパン、肉または魚(120g)、納豆(40g)または豆腐(100g)

根菜類や乾物など食物繊維の多い野菜を使うおかずを一品(きんぴらごぼう、切り干し大根、ひじきの煮物、筑前煮など)とります。いも100g、果物1個(200g)をどこかでとります。野菜の1/3は緑黄色野菜で。魚は1日1皿以上。肉料理は1日1皿まで。油を使った料理は1日2品まで。動物性油ではなく植物油、オリーブ油でとります。揚げ物など脂肪の多い食品は週2回までなどとします。肉料理はフライパンより網焼き、すき焼きよりしゃぶしゃぶ。魚は油を残したいので刺身、酢漬け、煮付け、ホイル焼き、ムニエルなどがお勧めです。一般的に肉は薄切り、魚は厚切りが良いです。



  
 
Homeアクセス