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胸痛について

胸痛

胸痛は誰もが一度は経験したことのある症状です。
その中には放置してよいものや、直ちに治療が必要なものがあります。
一般的に軽く比較的狭い範囲の胸痛は筋肉痛であることが多く、痛い場所を圧迫すると痛みが増強します。
肋骨の走行にそっての痛みは肋間神経痛や肋骨骨折の可能性があります。
帯状疱疹に伴う肋間神経痛では赤い皮疹が見られます。
心臓が原因の胸痛の場合、痛みは比較的広範囲であり、胸全体が圧迫されるような症状が特徴的です。
数分間持続するのが特徴です。
しばしばみぞおち、のど、顎、左肩の痛みを伴っています。
食道や胃、胆嚢の病気でもみぞおちから胸にかけて痛みがあるので、区別が必要です。
大動脈解離は大動脈がさける病気であり、突然の激しい胸痛や背部痛が出現し、痛みの場所が移動します。
肺の血管がつまる肺塞栓や気胸は肺を包んでいる膜が破れる気胸といった病気では、突然の胸痛とともに呼吸困難が出現します。
胸膜、心膜が原因の痛みは、大きく呼吸するときに痛みが増強します。
このように胸痛をきたす疾患は様々ですが、特に狭心症、急性心筋梗塞といった虚血性心臓病、大動脈解離、肺塞栓は緊急を要する病気であり直ちに医療機関を受診する必要があります。 

虚血性心臓病

<心臓と冠動脈> 心臓は血液を循環させるポンプであり、たくさんの心筋細胞が集まった筋肉のかたまりです。常に動いている臓器なので、絶え間なく酸素や栄養分を必要としています。心臓の表面には冠動脈という細い血管があり、心臓の筋肉に酸素や栄養分を供給しています。この冠動脈の血流が悪くなる病気が狭心症であり、血流が途絶えた状態が心筋梗塞です。 動脈硬化とは血管の壁が厚くなり、内側の血液が流れる部分が狭くなる現象です。高血圧、高血糖、高脂血症、喫煙があると、血管の壁に傷がつきやすくなり、この傷穴からコレステロールが入り込み、壁の中で炎症を引き起こします。この結果壁が盛り上がり、中が狭くなります。この盛り上がりをプラークといいます。


正常な冠動脈


動脈硬化を起こした冠動脈


<労作性狭心症> 冠動脈の動脈硬化が進行すると血管内腔が非常に狭くなります。血管内腔が元の70%以下になると、自覚症状が出るようになります。安静時には症状はありません。しかし走ったり、階段を上ったり、力仕事をする際には心臓の仕事量が増し、よりたくさんの酸素や栄養分を必要とするようになります。そのような場合、冠動脈の血流が増加しますが、動脈硬化で非常に狭いところがあれば、必要な酸素を十分に供給できず、心筋が酸素不足となり、胸の痛みを生じます。診断は安静時の心電図や血液検査では分からず、運動負荷試験が必要になります。治療は、軽症の場合は冠動脈を拡張する薬などで経過観察することもありますが、狭くなった冠動脈をバルーンで拡張する手術、バイパス手術などが必要になることもあります。

<心筋梗塞> 動脈硬化の盛り上がった部分はプラークと呼ばれます。高血圧や高血糖、高脂血症などがあるとプラークの表面が薄くなり、時にはプラークが破れてしまうことがあります。プラークが破れると、血管内を流れる血液が、破れた場所で凝固してしまい、血流が閉ざされるようになります。こうなるとその血管から酸素をもらっている部分の心筋が機能を停止してしまいます(壊死する)。この状態を心筋梗塞といい、30分以上激しい胸痛が続きます。安静時心電図でも異常がみられ、血液中には壊死した心筋からさまざまな物質が流出し、血液検査で検出されます。この場合心筋が完全に壊死するのを防ぐために、緊急で治療する必要があります。最近では血管の中に管を入れ、詰まった血管を再開通させる治療が行われます。またこのような状態では心不全や重篤な不整脈が起こりやすいため、熟練した医師のいる専門病院で治療するのが一般的です。

<異型狭心症> 主として安静時、特に早朝に数分続く胸痛をうったえます。これは冠動脈がけいれんを起こし、血管が収縮するために起こります。日本人に比較的多いといわれ、治療はけいれんの予防のために血管拡張剤を内服することになります。



大動脈乖離

大動脈の壁が裂けた状態であり、胸痛、背部痛が出現します。痛みの部位が移動するといった特長があります。裂けた場所が心臓に近い場合は緊急に手術する必要があります。高血圧を放置した場合に起こりやすいといわれます。

肺塞栓

全身をめぐる血液は静脈を通って心臓に帰ってきます。それから血液は酸素を補充するために肺動脈を通って肺へと向かいます。血液の中に血栓という血の塊があると、これが肺動脈をふさいでしまいます。これが肺塞栓で、急に胸痛、呼吸困難が出現します。血の塊を溶かしたり、除去する治療が必要になります。

  
 
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